レッスン概要

個々の発音

英語を構成する約10個の母音、および日本人にとって発音が難しい子音を中心に、/æ/ や /ʌ/ といった一つ一つの発音記号(IPA: International Phonetic Alphabet)を正しく発音できるようにします。

 

日本語の母音は「あ・い・う・え・お」の5個しかなく、これをそのまま英語に当てはめてしまうと、銀行 bank /bæŋk/ と、寝床 bunk /bʌŋk/ の発音が両方とも「バンク」となってしまう典型的な日本人発音になってしまうので、一つ一つの英語母音を正確に発音できるようにしてより正しい発音に近づけます。子音については、/l/ と /r/ 、/f/ と /v/、th の音である /θ/ や /ð/ など日本人が苦手な音を中心に、全ての子音を正しく言い分けられるようにします。

 

母音・子音ともに、舌の位置、口をあける程度、唇の形などの点に留意しながら、具体的にどうすればその音が出せるのか、を分かりやすく説明しながら正しい発音に導いていきます。マンツーマンレッスンなので、講師の口の構えなども参考にして、手鏡で実際にご自分の口の構えを確認しながら、舌・アゴ・唇の構えをマスターしていきます。

 

ある程度、個々の発音が出来るようになった段階から、音の連結(リンキング)、同化、脱落、あいまい母音 (schwa) /ə/ を用いた弱化、鼻腔開放(例. cotton)、側面開放(例. middle)、同時調音(例. please)、子音連結(例. train, dry)といった、ナチュラルな発音には欠かせない項目もカバーします。単に「私の発音を真似してください」といった感覚に基づいたレッスンではなく、音声学の理論・知見に基づいたレッスンをご提供いたします。

 

レッスンの流れとしては「音素レベル → 単語レベル → 短文レベル→長文レベル」 と進みますが、同時に、個々の「発音」以上に重要な「リズム」と「イントネーション(抑揚)」にも常に注意を払いながら仕上げていきます。いくら個々の単語の発音が正しくても、リズムやイントネーションが日本語のままだと不自然な英語になってしまうからです。

プロソディー(韻律)

リズム・イントネーション・ピッチなどの要素を英語では prosody (韻律)といいます。個々の単語の発音は正しくてもプロソディーが日本人的な発音よりは、個々の発音は日本人的でもプロソディーが自然な発音の方がネイティブにはよく通じます。ですので、レッスンではこれらのプロソディーの習得にも十分な時間をあてて英語への理解を深めていきます。

 

リズムに関しては、内容語(名詞・動詞・形容詞・副詞など)と機能語(冠詞・助動詞・接続詞・前置詞など)の言い分け、およびこれなしには英語らしいリズムを創り出すことができない「あいまい母音」schwa の習得を通じ自然な英語リズムを体得していきます。個々の音素の学習がある程度終わった段階から、Nursery Rhymes(マザーグース)や詩の朗読を通じて、英語独特のリズムを身につけていきます。

 

イントネーションに関しては、日本人が特に苦手とする「ピッチ」(音楽でのドレミファソラシドのような音の高低)のコントロールが重要な学習事項となります。正しいピッチが使えない日本人の英語は、ネイティブからすると非常に平坦、かつ単調に聞こえ、人によってはまるでロボットが話しているようだ、と表現する人もいます。

 

逆に正しくピッチのコントロールができるようになると、それまでのロボット英語から、メロディーがある音楽のような自然な英語で話すことができるようになります。レッスンでは基本的なイントネーションパターンを習得しながら、課題例文のイントネーションを忠実に再現できるまで、ピッチやリズムの微調整を行いつつ、何回も同じ文章の音読に取り組んでいきます。最終的には "The musicality of speech" すなはち、メロディーのような音楽性が伝わるイントネーションが出来るようになることが目標です。

 

宿題

当ワークショップでは、宿題をレッスンと同じ、場合によってはそれ以上の比重を持った柱として位置づけています。マンツーマンレッスンとはいえ、最終的に発音の習得のカギを握るのは、やはりご自分で机に向かって時間をかけて行っていただく自習です。短時間のレッスンだけで正しい発音の定着を図ることは現実的ではありません。

 

具体的には、レッスンで学んだポイントが含まれる課題を練習、そして録音していただき、その音声ファイルを次回レッスンの24時間前までにメールなどで提出して頂きます。当方では、それを問題点の分析のために、再生速度を変えたり、ピッチ分析などをしながら何回も聴き直します。そして問題点を抽出し、その解決法を考え、感覚的ではない具体的なアドバイスや添削を用意します。

 

レッスンでは、この添削結果をお見せしながら、問題点とその解決方法を解説し、問題箇所を矯正することを繰り返していきます。発音・イントネーションの説明の際には、音声分析ソフト Praat(Praat解説のYouTube)を用いて描いた、モデルとご自身の音声波形図を対比させながら解説することも多いです。また、イントネーションの習得には、ピッチ変化を五線譜の様に表現したピッチ図(こちらのページ中段にある図)を用いると、楽譜を見た時のように正しいイントネーションをイメージし易いので、レッスンでは個々の例文のピッチ図を使いながら、正しいイントネーションの習得を目指していきます。

 

なお、問題点によっては一回で矯正することが難しい場合もしばしばです。このような場合には、同じ内容の課題の再提出を数回にわたってお願いすることもあります。また、レッスンによっては、提出して頂いた課題の問題点の説明と練習だけでその回が終わってしまうこともありますが、このようにしながら各レッスンのポイントを確実に習得することを目指します。

マンツーマンレッスン

発音指導は集団では困難です。参加者が二人いれば、一人にかけられる時間は、一人の場合に比べて単純に半分になってしまい、効率が上がりません。当ワークショップでは学習者一人だけに集中できるマンツーマンレッスン方式のみでレッスンを行ないます。

 

スクールによってはレッスンの度に講師が変わってしまい、レッスンの質が保てない場合もありますが、当ワークショップでは代表が全てのレッスンを担当します。生徒さん別にレッスンプランを考え、レッスン準備を行い、そして計画的にレッスンを行っていきます。プライベートレッスンですので、個々のニーズに合わせた最適のレッスンを提供いたします。

オンラインレッスン

新型肺炎流行を考慮し、当面は Zoom を用いたオンラインレッスンのみとさせていただきます。オンラインレッスンでも、対面レッスンでホワイトボードを使うのと同様に、ipad のノートソフトに講師が板書し、この画面を生徒さんと同時共有しながらレッスンを進めていきます。

 

Zoom では音声・動画資料も同時に共有することができます。大変クリアなモデル音声や画像を使いながらのレッスンができるので、対面レッスンと比べても遜色のない水準のレッスンを提供することが可能です。(Zoom の概要および使用法はここをクリック願います)

 


レッスンに関して不安なことやご質問などありましたら、小さなことでもお気軽にお問い合わせください。Zoomを使ったオンライン面談も可能です(30分程度、無料)。


講師の発音

私の好きなイギリスの児童文学である C.S.Lewis のナルニア国物語「魔術師のおい」の冒頭を2分程朗読してみました。テキストはこちらからお読みになれます。

またシェイクスピアのソネットの朗読もブログでお聞きになれます。

ワークショップの様子

日が射し込む明るい部屋です。対面レッスンはこちらで行います。

ワークショップの部屋